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ディープステート(闇の政府)の存在をエミネム大先生と一緒に考える(1)

!注意!これはエミネム大先生の布教記事です。エミネムが嫌いな方は精神衛生上読まない方がいいでしょう〉

 

そうなんです。エミネムが好きなんです。好きどころか畏敬の念さえ抱いています。
スピ系の言葉でいうなら、きっと高次元の存在がこの地上に降りて来てくれているに違いない、神がエミネムという高潔な魂をこの世界に遣わしてくださったのだ、ありがたや~です。

そもそも異常事態なんです。ずっとその状態が続いてるからみんな慣れちゃってるのかもしれないけれど、なぜ白人が一人だけHipHop界にこんなにも長期間君臨しているのでしょうか。
アメリカのHipHop界は人種による高い高い参入障壁があります。原則として黒人しか入れません。白人というだけで「はいダメー!」となります。
それなのに、なんであの小柄な白人をイカツい黒人たちがみんなリスペクトしているのでしょうか。
その最大の要因は圧倒的なスキルと実力です。
「なに~?!白人だとぉ??!..…え、あ、ごめん。。勝てない。。。」となります。
今ではもうすでに殿堂入りです。別格です。レジェンドです。

エミネム(本名:マーシャル・ブルース・マザーズ3世)の両親は白人の最貧困層、父親は生後間もなく家を出て行き、ヤク中の母親に虐待されながら育ちました。学校ではいじめの標的になり、ひどい暴行を受けて10日間昏睡状態に陥って生死を彷徨ったこともあります。
家でも暴力、学校でも暴力の日々です。そんな子供時代を過ごしたら、大抵はヤク中や犯罪者、近所の猫を殺すような大人になって人生を終えてしまいそうです。それなのに、よくも自分の中の怒りや恨みやドロドロをあんなレベルの高い芸術に昇華させましたね。やっぱり高次元の魂に違いない。。。

エミネムは実の娘のほか、元妻(ヤク中)と他の男性(ヤク中で死亡)との間にできた娘、元妻の姉(ヤク中で死亡)の娘を引き取り、その3人の娘すべてに愛情を注ぎ、立派に育て上げました。
自身も重度の薬物依存(合法の薬をオーバードーズ)になり、死ぬ一歩手前までいきましたが、断薬を決意して再生を果たし、2008年以降2025年現在に至るまで17年間、断酒・断薬を続けています。薬物で死にかけた地獄のような体験も曲にしています。エミネムはすべての自分のネガティブな体験を、高度なスキルで素晴らしい芸術に変容させてしまうのです。
成功して大金持ちになっても自分は安い服を着て贅沢をせずちゃんと貯金をして、地元デトロイトに積極的な寄付や支援活動をしています。

モラルがぶっ壊れた環境で幼少期を過ごした人物が、どうやって自分の中に高い倫理観を形成できたのか、心理学的にとても興味深いです。おそらく、“スリム・シェイディ”という別人格を作り出し、曲の中で暴れさせることによって、本体の“エミネム”は正気を保っていたのかなと、勝手に分析しています。
“Guilty Conscience 2”という曲では、スリム・シェイディとエミネムのやりとりが描かれており、エミネム大先生の頭の中はこうなってたのか。。とイメージできました。
こちら↓

ちなみに、この曲が収録されている2024年リリースのアルバム『The Death of Slim Shady(スリム・シェイディの死)』のプロモーションでは、デトロイトの新聞にスリム・シェイディの死亡記事が掲載されるという演出が行われました。
もうスリム・シェイディに頼らなくても生きていけるということでしょうか。

 

さて、HipHopといえば、去年アメリカ中を震撼させた事件がありました。
ディディの逮捕です。
日本ではあまり報道されていなかったようですが、2024年3月、HipHop界の重鎮ディディ(別名:パフ・ダディ/P・ディディ/ショーン・コムズ)の邸宅が、SWAT(特殊部隊)を含む国土安全保障省の捜査チームによって家宅捜索されました。訴状は75ページ以上に及び、性的暴行、人身売買、薬物強要、未成年への加害などが記載されています。すでに120人以上の被害者から告発されており、うち25人は未成年、9歳の少年も含まれていたそうです。これは“第二のエプスタイン事件”とも呼ばれ、ハリー王子、ジェイ・Z、ビヨンセ、ジャスティン・ビーバーなどの名前が関係者として浮上しました。ディディは現在、逃亡・証拠隠滅の恐れがあるとして保釈なしで拘留中です。裁判は、2025年7月に一部有罪判決が下され、量刑(刑期)の正式な宣告は2025年10月に予定されています。性的人身売買などが証拠不十分で無罪となったことから検察側が控訴する可能性もあり、ディディ側がトランプ大統領に恩赦をもらう画策をしているという話もあり、現時点ではどう転ぶかわかりません。

エミネムは事件発覚のずっと前からディディをディスっていました。ディディが逮捕された時、ほらねほらね、エミネム大先生の人を見る目は確かだったでしょ〜?となりました。

逮捕後に話題となったのが『Fuel』という曲です。この犯罪のことを上手く仄めかしています。
こちら↓

問題のリリックは1:43あたり↓から始まります。

I’m like a R-A-P-E-R
Got so many S-As, S-As
Wait, he didn’t just spell the word, “Rapper” and leave out a P, did he?

  • ※最初の行のR-A-P-E-Rは「ラッパー」からあえてPを一つ抜いて「レイパー」にしている
  • ※S-Aはsexual assault(性加害)の略語。少し前に出てくるessayという単語と同音でさらにダブル(トリプル?)ミーニング。essayはチカーノ系スラングで仲間という意味のeseとも同音。「ラッパーだからエッセイがたくさんある/仲間がたくさんいる」という意味と「レイパーだから性加害をたくさんしている」という意味をかけている(たぶん)
  • ※最後のleave out a P, did he?(スペルからPを抜いた?)の“P, did he?”とP・ディディ(ディディの別名)をかけている

エミネム大先生のリリックはすべてがこんな感じの重層的な構造になっています。ちなみに、個人的には2:36くらいからの頭韻踏みまくりパートが一番好きです。

しかし、いくらエミネムといえども、あんな絶大な権力を誇る重鎮をずっとディスり続けるのは覚悟のいることだったのではないでしょうか。スリム・シェイディにとっては楽しくても、エミネムにとっては怖かったはずです。

そして、エミネムが以前からずっとディスり続けているもう一人の強大な権力者がトランプ大統領です。
2017年のBETヒップホップ・アワーズで発表したフリースタイルラップ“The Storm”の中では自分のファンに対して、「トランプを支持するなら俺のファンを辞めろ!」とはっきり宣言しています。
こちら↓

このラップでは、ひとしきりトランプをディスった後、
「トランプを支持している俺のファンへ譲れない一線を示しておこう。どっちかに決めろ。決められないんだったら俺が決めてやる! F××k you!」
と宣言し、続けて、
「残りのアメリカ国民よ、立ち上がれ!俺たちはこの国を、そしてその兵士たちを愛している!だが、トランプだけは絶対に許せない!」
と言っちゃっています。そりゃコメント欄も荒れるわ。

エミネムは自身のファンの中心である労働者階級の白人にトランプ支持者が多いことを念頭に、「政治信条を明言することでファンを失っても構わない」と述べていました。
そうなんです。トランプとエミネムの支持層は結構被っています。それは白人労働者階級〜中流階級です。

その層が抱くトランプとエミネムの共通のイメージとして挙げられるのは主に以下の二つがあります。

  • 成り上がりのイメージ
  • ポリコレ(政治的正しさ)をぶっ壊す言動で自分を代弁してくれるイメージ

成り上がり?
いやいや、エミネムは下の下、貧乏of貧乏から実際に成り上がったけど、トランプは生まれた時からずっとお金持ちだったでしょ?
トランプは自分で成り上がりだと言ってるみたいだけど、それ、いつもの噓でしょ?調べればすぐわかることでしょ?
念のため私もAIに聞いてみました。
その答えがこちら↓

はい、ドナルド・トランプは自身を「self-made(成り上がり)」と繰り返し主張してきましたが、その内容には事実と異なる点が多く、意図的な誇張や虚偽と見なされることもあります。

  • 🧨「self-made」の主張と実態
    •トランプはかつて「父から受け取ったのは100万ドルの少額融資」と語り、それを元手にビジネス帝国を築いたと主張しました。
    •しかし、調査報道によると、実際には数千万ドル以上の支援や贈与を受けており、税金逃れのスキームも含まれていたとされています。
    •彼の父フレッド・トランプはニューヨークの不動産王であり、ドナルドはその資産・人脈・事業基盤を活用してキャリアをスタートさせました。
  • 🧠なぜ「嘘」とされるのか?
    •トランプは「自分の成功は自分の努力によるもの」と語ることで、庶民の共感や支持を得る戦略をとっていました。
    •しかし、BuzzFeedなどの報道では、彼が「虚偽と知りながら事実と異なる発言を繰り返していた」とされ、意図的な嘘と断定されています。
    •彼の発言は、しばしば「誇張」「事実の歪曲」「感情的な演出」を含み、ポピュリズム的な手法として使われていると分析されています。
  • 🎭嘘を“演出”として使うスタイル
    •トランプは「嘘でも言い続ければ本当になる」という信念を持っているようで、SNSなどで繰り返し同じ主張を発信しています。
    •これは「悪名は無名に勝る」というメディア戦略にも通じており、彼にとって嘘は支持を得るための武器なのです。

つまり、トランプの「self-made」発言は、事実に基づいていないだけでなく、意図的に構築された自己神話と見るのが妥当です。これは彼の政治的・ビジネス的なブランディングの一環であり、真実よりも“物語”を優先するスタイルが色濃く表れています。

ほら、3秒でわかるよ。
なんで嘘のストーリーの方を信じて気持ちよくなっちゃうのかなぁ。
エミネム大先生もかなりイラついています。

@shady.addicts

Why is he so REAL???…#fyp#edits#eminem#eminemeditseeminemeeminemfanmmineminemineeeminemquoteseeminemfansttheeminemshoweeminemlyricseeminemforevereeminemeditsmmakeminemarveleeminemfanpageeeminemmemeseeminemstaneeminemshoweeminem_kingeeminemloveeeminem4evereeminemvideoseeminemseeminemconcerteeminemquoteeeminemrevivaleeminemstanseeminemfacteeminemsdaughtereeminemliveeeminemrapgodeeminemslimmarshalleeminem4lifeeminemmusic#fypviraltiktok🖤シ゚☆♡

♬ original sound – shady.addicts

「トランプの支持層の中心がマジョリティの白人中間層だとして、理解できないのは、どうして人生で一度も苦労したことのない億万長者に共感できるのか」そして「トランプが最も気にかけていない人々が彼を支持している」と痛烈に批判しています。
そう、この現象は日本でも起きていますよね。
え?その政治家を応援するってことは真っ先にあなたみたいな人の生活が壊されるってことだよ?!と激しくツッコみたくなります。

トランプ信者は2020年の米大統領選挙は不正選挙だったと本気で信じているんですよね。
えぇ?そんな不正選挙ができるなら2024年もハリスが勝ってたはずじゃん。
トランプが負けた時だけ不正選挙で勝った時は公正な選挙だったの?
え?バカなの?アホなの?

私は別に民主党を応援したいというわけでもありませんでした。2024年の選挙もどっちもどっちだなぁと完全に他人事でした。が、今思うと、ハリスが勝っていた方が全然マシでした。それとトランプ支持者がみんなアホすぎるので、どうしても“それ以外”を支持したくなってしまいます。だいたいアイドルみたいに政治家に心酔するのは危険ですよね。推し活と政治家を選ぶことは全く違います。
そこを一緒くたにして「トランプさん💖」とか「安倍さん💕」とかなっちゃうのが一部の保守の怖いところ。
そのリビドーは好きな芸能人とか作品とか趣味に向けたらいいのに。。

さて、トランプとエミネムのもう一つの共通のイメージ、“ポリコレ(政治的正しさ)をぶっ壊す言動”についてはどうでしょうか。
エミネムの歌詞には差別的な表現が多く、多くの激しい批判を受けていました。自身がゲイであるエルトン・ジョンも歌詞に含まれる同性愛嫌悪的な表現に当初は懸念を示していましたが、その後エミネムを知るにつれ考えが変わり、「エミネムは偏見を持っていない。彼のリリックはキャラクターの視点であり、誤解されている」と語り、彼を擁護する立場を取るようになりました。2001年のグラミー賞で二人は共演しましたが、そのことでエルトン・ジョンまでもLGBTQ団体やゲイ・グループから激しいバッシングを浴びました。
エミネムはネットの悪質コメントを見るのが怖くなり、自分の代わりにネットを見る人まで雇っていたそうです。のちに「ネットを見ると自分がどれだけ嫌われているかがわかってしまう。だから、代わりに見てもらって、必要な情報だけ教えてもらうようにした」と語っています。このような強いストレスから彼は薬物依存に陥っていきました。
エミネムは本当に差別主義者だったのでしょうか。

いやいや、違うんです。
スリム・シェイディはやっちゃいけないことをやり、言っちゃいけないことを言うキャラクターです。すべての人の心の中にある邪悪な部分、“差別したい気持ち”や“意地悪したい気持ち”を可視化してアートに昇華しているんです。それに、スリム・シェイディは曲の中に閉じ込められていて、実社会には出て来られないのです。MCやスピーチで差別発言をするのとは全く違います。ましてや、権力者が実際にその権力を使ってマイノリティを迫害するのとは次元の違う話なのです。
それを一緒くたにして「けしからん!😡💢」となっちゃうのが一部のリベラルの怖いところ。
エルトン・ジョンは、エミネムが薬物依存に苦しんでいた時期も個人的に支援し、リハビリの相談役にもなっていたことが知られています。エミネムを失うことはこの世界にとっての損失であることが、直感的にわかっていたのかもしれません。
近年のエミネムの楽曲では、精神疾患・依存症・家族問題など、社会的弱者の視点が強調され、LGBTQ当事者の間でも“弱さをさらすアーティスト”として再評価の動きがあります。

エミネムは人種の壁はぶっ壊してくれましたが、ポリコレはぶっ壊していません。
しかし、「エミネムは俺たちを代弁してくれている!だから差別してもいいんだ!」と勝手に勘違いしてしまうファンもいたでしょう。そういう人達は大抵トランプ支持者でもあります。「トランプ大統領が俺たちのためにLGBTQや移民を追い出してくれる!」と思っちゃう層です。
だから、「トランプを支持するなら俺のファンを辞めろ!」と宣言したのは大正解だったと思います。

もちろん、エミネムのファンは白人労働者階級や中間層だけではなく、世界中のあらゆる階級や人種にいます。日本でもHipHopに全く興味がない人でもエミネムの名前は知っていますよね。
「エミネムの曲が私の人生を救ってくれた!」という声は世界中から本当にたくさん聞きます。
しかし、
「トランプ大統領が私の人生を救ってくれた!」という声を全く聞かないのは、私のフィルターバブルのせいでしょうか。

その代わり、トランプの語る嘘のストーリーを信じて気持ちよくなっちゃっている人はたくさん見かけます。

トランプの語るストーリーの根幹にあるのは「ディープステート(闇の政府)と戦っている正義の味方のオレ」というイメージです。

トランプが1月に大統領に就任してから今まで何をやってきたのかというと、
富裕層向けの減税・低所得者のための医療制度メディケイドの削減・ホワイトハウスを金ピカリフォーム・政府プログラムの解体・SNS規制の緩和、移民の大規模な取り締まり・自分が煽って議会を襲撃させ殺人まで犯した犯罪者達への恩赦・自分の誕生日に軍事パレード開催・恫喝的な関税交渉・自分に批判的な報道機関への嫌がらせ・自分に批判的な大学への嫌がらせ・憲法無視の州兵派遣・災害時支援の人員削減・プーチンにヘコヘコした首脳会談・ノーベル平和賞をよこせと電話する・エプスタイン事件の重罪犯受刑者に自分に有利な証言をさせた直後に軽い警備の刑務所へ移送させる・ハリス前副米大統領に犬笛を吹きつつ警護を打ち切る・卑劣な手でFRBを乗っ取り(進行中)・・・
などです。

えーっと、、、これが“ディープステート”との戦いなの?
どうすんのこれ?
頭がおかしい権力大好きおじいちゃんがメチャクチャやってるだけに見えるんだけど。。。

トランプ信者:
「い、いや、これは作戦通りなんだ…トランプさんはすべて計算してやってるんだ…そ、そうだ、こ、これは全部想定内で裏には緻密な計画があるんだ!」

なーい!ないないないないないない!
え?バカなの?アホなの?

最近は各国の首脳たちも、とりあえずコイツはおだてて転がしときゃいいや、というシンプルな取り扱いマニュアルを見つけたようです。
これがあと3年半も続くのでしょうか。
その可能性はあまり高くないような気がします。トランプさんはもう年だし健康状態もあまりよくないそうですね。おそらく無意識だと思われますが、最期にできるだけぶっ壊してやろうというヤケクソ感もあります。ご本人の意識としてはひたすらレジェンドになりたがっているようですが。。。

で、結局、“ディープステート”って何?
その敵はどこにいるの?

この世界を支配している悪の組織で、挑んでも到底かなわないほどの強大な敵という設定のようですが、曖昧過ぎてよくわからないし、具体的に誰がいてどういう構成なのか全くわからないという、本当に謎の組織ですね。
AIに聞くと、
ディープステート(Deep State)とは、選挙で選ばれた政府とは別に、国家の意思決定を裏で動かしているとされる隠れた権力構造を指す言葉です。日本語では「影の政府」「闇の政府」とも訳されます
だそうです。
へぇ、すごいね。怖いね。
でもやっぱりよくわからないですね。

このシリーズでは、多くの(アホな)人たちを高揚させてしまう、あくのそしき“ディープステート”について考えを深めていきたいと思います。トリックスターとしての役割を持つトランプとエミネム、両者の比較もしていきます。
(※超のんびり更新です)

(2)へ続く