絶望的な激痛が奇跡的に治った話(10)

(9)の続きです。

民間療法を試している期間も整形外科には定期的に通い、痛み止めの薬をもらっていました。さらに併設のリハビリ室で、首の牽引、低周波マッサージ、温熱治療の3セットも受けていました。相変わらず痛み止めの薬もリハビリも全く効かず、痛みは強くなるばかりの現状を見て、保存療法推しだった医師も、
「そろそろ手術を考えた方がいいかもしれません」と、
手術を受けられる病院のリストをコピーした紙を渡してくれました。
まあ、痛み止めが効かなければ処置なし、というのは最初からわかっていたのですが、医学的にはもう手術しかこの痛みから逃れる術はないってことだよね、と再認識しました。

医者の仕事ってやりがいあるのかなぁ。。患者から症状を聞いて薬を処方するだけの医者なら今後はAIがやればいいよ。。そっちの方が正確だし。。
それで浮いたお金は高度な技術を持つ医者を育てる資金に充てればいい。。
なんてことを勝手に妄想しながら病院を後にしました。

手術なんか嫌だ…という気持ちは私のわがままかもしれません。でも、本当は手術など全く必要ないんじゃないか、というはっきりした直感もありました。
やはり怪しくても民間療法を探すしかない、という思いを強くしたのでした。
もう少しペースを上げよう。。。

前回書いた『Aセラピーセンター』も通い始めたばかりでしたが、全く痛みが軽減する兆候が見られないので、他にも探してみようと、もう一度“オステオパシー”で検索しました。近所で安くてよさげだったのが、『Tカイロプラクティック』という治療院でした。
カイロといえば、“マルチまがい商法的”なカイロに行った体験がちょっと怖かったので、あの後、“カイロプラクティック”についてネットでしっかり調べてみました。日本では正式な資格はないのですが、海外ではちゃんと大学で学べるようになっていて、正式な資格もあるようです。なので、その海外の正式な大学をちゃんと卒業していて資格があるかどうかが、一つの重要なバロメーターになりますね。そこが最低ラインということです。
『Tカイロプラクティック』の先生はちゃんとした資格も経験もあるようです。何よりご自宅で開業されていて家賃がかからないからか、お値段が他と比べてとても安く、一回3800円というのも魅力です。(※2025年現在も料金は変わっていません)
早速電話をして予約を取りました。そこまで長期間待つこともなく、割と近い日程がすんなり取れた記憶があります。
とりあえず、『Aセラピーセンター』と『Tカイロプラクティック』、同時並行で通ってみようと思いました。両方とも“オステオパシー”を謳っているし、たぶん首を治すには“オステオパシー”とやらが効きそうだし。。

『Tカイロプラクティック』も先生は中年男性で、一人で経営しているようです。
このパターン多すぎ…それだけたくさん需要があるということでしょうか。脱サラして独立するにもちょうどいいのかもしれません。在庫を抱える必要もないし、飲食店のような設備も仕込みも要らず、ちょっとしたスペースと自分の腕さえあれば開業できるのも比較的始めやすいのでしょう。しかし、こんなに治療院が乱立している状況では、患者の方も本当に自分に合うところに出会うまでは片っ端から試してみるしかなく、お金と時間がかかりますね。個人的には、ネット上の口コミや、その人が有名かどうか、本を出版しているかなどは全くあてになりませんでした。

話を戻します。
『Tカイロプラクティック』は先生のご自宅の一軒家の一部が治療スペースになっていて、場所は駅から徒歩7~8分くらい、駐車スペースもあり、車でも行ける割と便利な立地です。受付も治療室もトイレも掃除が行き届いており、先生も柔らかい物腰の優しい雰囲気の方で安心できました。
今までと同様、症状の説明をして、首のMRIの画像を見せました。ここの先生が今までの先生と違ったのは、MRIの画像を見ても全く深刻そうな顔をしなかったことです。今までの先生は例外なく「こりゃあやばい」的な表情になっていたのですが。。。

治療は主に、“アクティベータ”という不思議な機器を使って、体の色々な個所をコンコンと軽くたたいていくだけです。正直、その“アクティベータ”とやらの効果はわかりませんでした。でも、全身のコンコンが終わると、先生は重点的に左の肩甲骨周辺の筋肉をかなり強い力でゴリゴリとマッサージし始めました。その際の痛みと痺れがものすごかったのですが、それはヤバい感じの痛みではなく、効いてる感じの痛みでした。それが終わるとびっくり!なんと左腕の痛みと痺れが半減しているのです。
すごい!今まで何をやっても治る気がしなかった激痛が、はっきり自覚できるほど軽くなってる!!!
え、これはいけるんじゃない??
え、でもちょっと待って…この痛みと痺れの原因は首の骨のはずなのに、今日、首の治療は一切してないよね??
そういえば、自分の身体感覚としては、この激痛の根源は肩甲骨周辺にある感じがずっとありました。でも、医者の診断では頸椎の変形が原因と断定されていたので、そんなもんか。。と思っており、医学的な知見と自分の身体感覚とは乖離しているもんなんだなぁと、ずっと医者の診断の方を信じていたのです。ここで初めてその診断を疑い始めました。

「先生、もしかして、痛みの原因は頸椎の歪みじゃなくて、肩甲骨周辺の筋肉なんですか?」と聞くと、
「その可能性は高いね。肩甲骨の筋肉は首とも腕ともつながっているから、首を動かすと腕に痛みと痺れが走るのは肩甲骨周辺の筋肉が怪しいです」との見解。
そうなの?医者の診断と違う。。。 
でも、現に、肩甲骨周辺をほぐしたら痛みがかなり軽減しています。
え?ってことはやっぱり神経じゃなくて筋肉が原因?!

“頸椎の椎間板が出っ張って神経を圧迫してるから、腕に激痛と痺れが起こっており、このまま放置すると神経の流れが途絶えて腕が麻痺してしまうかもしれない”
という頑なに信じていた、頭の中の深刻なイメージが崩れ始めました。

「あの、お医者さんの診断では、首の神経が圧迫されているのが原因のはずなんですが、もしかしてその診断は間違いなんですか?」
と単刀直入に質問してみました。すると先生は、
「MRIの画像はそこまで参考にならないんです。首の骨が歪んでいても全く痛みのない人もいるし、首のカーブが綺麗で問題のない人でも痛みに苦しんでいる人もいるんです」と即答。
そうか、なるほど、だから、さっきMRIの画像を見せても表情一つ変えなかったのか…
そういえば、その説は何度も読んだことがあります。この腕の激痛が始まってからいろんな本や論文でたくさんの事例を読み漁り、最新の研究では、頸椎や腰椎の歪みと腕や足の痛み&痺れは相関がないことは、知識としては知っていました。それでも、“医者の診断”の方が本当っぽく思えてしまっていた自分の認知の歪みの方が問題だったのかもしれません。生まれて初めて経験した“痺れ”という症状は、完全に未知の世界でしたから。。。
でも、筋肉が問題ならやはり手術なしで治せそうです!

希望が見えてきて、明るい気分で帰りの途に着きました。
もちろん来週の予約も取りました。

(11)へ続く