絶望的な激痛が奇跡的に治った話(11)

(10)の続きです。

そっか~!!
首じゃなくて肩甲骨周辺の筋肉だったか~!!

この実感を伴った新発見と、これでこの激痛に終わりが来るだろうという明るい予感、やっといい治療家を見つけた感動で気分が高揚していた私は、
その数日後に予約していた『Aセラピーセンター』に行った時に、
「先生、この間別のカイロに行って、肩甲骨周辺の筋肉をほぐしたら痛みがすごく軽くなったんですよ!やっぱり頸椎の問題じゃなくて筋肉の問題だったみたいです!」と伝えました。今考えると、このプライドの高い先生の気持ちをもう少し汲んであげたらよかったなぁと少し反省しています。
すると、『Aセラピーセンター』の先生は、
「ほらね、だから言ったでしょ?胸郭が原因だって…」

え?今まで胸郭なんて一言も言ってなかったけど。。。
今までは首を治そうとしていたようだけど。。。
しかも、正確には胸郭じゃないよ?肩甲骨周辺の筋肉なんだけどなぁ。。。

プライドの高すぎる先生は、そう言い返すのがやっとだったのでしょう。
ここでやっとこの先生に対する疑念が生じました。
今までは藁にもすがる気持ちで先生のブログの過去の記事を読み漁り、奇跡的に治った事例をたくさん読んできて、自分をある種洗脳していました。
信じたかったのです、この先生がゴッドハンドだと。
でも、本当に“効く”治療をしてくれる他の先生に出会った後には、そんな強引な自己洗脳はあっさり解けてしまいます。

いつものように10分程度の治療の後、
「どう?痛みが軽くなったでしょう?」と、
いつものように、強気な問いかけ。
でも、やっぱり、
いつものように痛みは変わりません。
「う~ん」と答えに詰まる私。
この日は先生のプライドを傷つけてしまったからでしょうか、、
「ええと、じゃあちょっと待って」と少しイラつきながら、もう5分程治療してくれました。
しかし、私が痛いのは左腕なのに、右腕ばかりに働きかけています。
最初はあえて反対側を治療しているのかなと考えたのですが、どうやら完全に左右を間違えているようです。
その後、「これでどう?」と聞かれたので、
私は首と痛い方の左腕を動かしました。
そこで、先生は左右の間違いに気づいたようです。
“あ!”という表情になりましたが、何も言いませんでした。

そうかこの先生、普通にポンコツだったんだな。。。
ここで完全に洗脳が解けた私は、やっと論理的思考ができるようになりました。

「来週の予定がまだわからないので、わかったらまた電話します」
と次の予約は取らずに帰りました。
そしてもちろん、この日が最後の治療になりました。

洗脳が解けて論理的思考を取り戻した私は、よく考えるとおかしな点があるんだよなぁ、と記憶の底に沈めていた考えをやっと言語化し始めました。この先生はたくさんの治療家を育てていて、ホームページを見ると、その養成コースらしきものにかなりお高い料金が設定されています。一度弟子として入門した人でも、途中で離れていく人もいるようです。そりゃまあいるでしょうね。
そういう人たちに向かって先生はブログで、「途中で辞めると悪いことが起こってしまう」「とても危険だ」的なことを書いていて、それを読んだ私は、おや?と違和感を覚えていたのです。ずっとその違和感は無視し続けてきましたが、これってカルト宗教と全く同じ手法ですよね。

それともう一つ、先生のブログには、「頻繁に風邪をひけて熱を出せる体の方が実は健康」といった内容が書かれていて、先生はよく風邪をひいて熱が出るとのこと。
そういえば私、大人になってからは風邪をひいて熱が出ることがないなぁと思いました。子供のころは、年に一度くらいは風邪をひいて三日間ぐらい寝込んでいましたが。。。
これは賛否両論ありそうですが、頻繁に風邪をひいて高熱が出る体と、全く風邪をひかない体だったら、個人的には後者の方がいいです。前者は不快だし不便、デメリットしかないです。なんでそっちの方が健康なの?免疫力の問題じゃないの?

で、ある日治療に行くと先生はマスクをしていました(※コロナ前)。
「風邪ひいちゃってさ~」と、ちょっとフラフラしています。
私は、(げっ、うつされたら嫌だなぁ)と内心思いました。
気づくと、もう一人若い男性がいます。
「だから、ヘルプで入ってもらってるの。今日は二人で治療するから」と先生。
どうやらこの若い男性はお弟子さんのようです。

このお弟子さんはなかなか鋭くて、私の右足首を触ると何かを発見したらしく、すごくこだわって何とかしようとしてくれました。
そうなんです。私の右足首は、小学校2年生の時、酷い捻挫をしてから捻挫が癖になり、その後あらゆるスポーツで何度も何度も捻挫してしまったため、今では長時間しゃがんだ体勢を続けると歩けないくらい痛くなってしまうのです。しかし、しゃがむ時間に気をつければ他は問題なく、日常生活もスポーツもできます。これは一生治らないんだろうなぁと諦めてもいます。しかし、こっちからは何の情報も与えていないのに右足首を触っただけでよく気づいたね、すごい!と思いました。

で、そのお弟子さんがずっと右足首の治療をしていたら、先生はイライラして、
「そっちはいいから、首の方をやって!」と、
治療をやめさせてしまいました。
あ~あ、どうせ首の治療しても治らないんだから、右足首をやってほしかったな。。と思ったものです。
先生の方は私の右足首の異常には全く気づいていなかったようです。

今思うと、あの才能のある若い子は、一刻も早くあの先生からは離れるべきでしょう。ご本人が自分で気づいてくれていますように。。。

もちろん、先生の治療で奇跡的に治った人も少なからずいると思います。でも、それはどこの治療院でも、怪しげな宗教でも、怪しげなスピリチュアルでも同じこと。
タイミングや相性、どれだけ患者自身がその先生を信じているかによるでしょう。だからこそ経済が回っていて、こんなに多くの治療院が経営を続けていられるのですから。カルト宗教もスピリチュアルなんちゃらも同様です。そのおかげで治った、苦しみが消えたと信じている人は、辞めたら怖いと感じてしまうのもわかります。

こうやって、トランサーフィンでいうところの“振り子”がたくさん生まれて巨大化していくんですね。

(12)へ続く