絶望的な激痛が奇跡的に治った話(4)

(3)の続きです。

次に試してみた治療法は気功です。

その時期は真冬にさしかかって、寒さのせいか、腕の痛みが激痛⇒超激痛に変わってきていました。また、それまでは親指、人差し指、中指の3本の指だけがしびれていたのですが、薬指、小指もしびれだし、その2本の指が痺れ⇒激痛に変わりました。そこが痛すぎて、最初しびれていた3本の指はかすかにしびれる程度になりました。
不思議です。
医者には、親指、人差し指、中指の3本に、ちょうど対応してる部位の頸椎が変形してると言われていたので、他の指がしびれ始めるってことは、変形している頚椎の部位が変わったの?と疑問に思いました。しかし、頚椎の変形は長年の習慣で起こると説明されていたんですが。。。
その点を医者に尋ねると、
「それはゴニョゴニョゴニョ・・・」
「う~んとモゴモゴモゴ・・・」
あれ?うまく説明できないようです。
もしかして頚椎と腕の痺れ&痛みは関係ないの?

そうなんです。これはずっと後になってわかるのですが、首の変形と腕の痺れ&痛みは全く関係なかったんです。
当時は首が悪いんだと信じこんでいましたが、そうではなかったんです。
腕の痺れは首が原因。
足の痺れは腰が原因。
医者はそう習ったし、教科書に書いてある通りに信じています。
しかし、日本の整形外科は20年遅れていると言われています。最新の研究ではそうではないんです。
もちろん、首や腰が痛みや痺れの原因である場合もあります。でも、それは全体の中のほんのわずかです。ほとんどの痛みや痺れの原因は、筋肉です。だから、手術をしなくても治せる可能性はかなり高いんです。もし痛みで悩んでいて、医者に手術を勧められている方は、どうか最新の論文などを調べてみてください。さらに可能なら、セカンドオピニオンやサードオピニオンの病院、近所で評判の良い整体やカイロプラクティックも試してみてください。あと、これは自分の経験から学んだ個人的な意見ですが、偉そうな態度の人はたいてい間違っています。
これについてはまた後で詳しく書こうと思います。

さて、話を当時に戻します。
痛み止めの薬をトラムセットというもっと強い薬に変えてもらいましたが、それも全く効かず、薬の量や頻度を増やしても、副作用の吐き気が酷くなるだけでした。本当に誰か助けて!!という気持ちで気功療法を探してみました。上手くいけば、よくわからない不思議な力で奇跡的に治ってしまう。。というイメージを抱きつつ、気功にはかなり期待していました。近所の気功治療院に何軒か行ってみましたが、あまりパッとした効果は得られませんでした。
近所じゃなくて少し遠くてもいいから、本物の気功師はいないのかとネットで調べて見つけたのが、『か●●公いち治療院』という横浜にある気功治療院でした。ホームページには、「2ヶ月は予約でいっぱいです」とあります。(※2023年現在、当時のホームページはなくなっているようです)
そんなに人気なの?!
Youtubeでその先生のことを検索すると、手を触れずに人を投げ飛ばしたり動きを封じたりしています。
すごい!本物っぽい!
ネットで見たこの先生の本のレビューや治療の感想もおおむね高評価ばかりです。
有名人や芸能人ともたくさん対談しています。
すごい!本物っぽい!
なのに、初回の治療は2900円とお安いです。私は2ヶ月待ってもいいから一度治療を受けてみたいと思いました。
ホームページには「只今、メールでのお問い合わせは受け付けていません。必ず電話でお願いします。」とあったので、早速電話してみました。しかし、何度電話しても全く出てくれません。
そんなに混みあってるの?!
私は余計治療を受けたくなりました。
何度か日にちや時間を変えて電話したら、やっとつながりました。先生本人です。個人の治療院ではよくあることですが、全部一人で対応しているようです。でも、ここまで電話に出てくれないのは初めてでした。めちゃくちゃ忙しいんだなと思いました。

電話で治療の予約をしたい旨を伝えると、
「2ヶ月先まで予約いっぱいなのよ..」と先生。
それは覚悟していたので、
「大丈夫です。2ヶ月待ちます」
と答えると、
「うち、気功教室もやってるのよ。2ヶ月待たせるのは申し訳ないから、気功教室に来てみたら?そしたら自分で治せるようになるし、通っているうちに元気になっちゃう人もいるしさ…」
などと、やたらと主催している気功教室の方へ誘ってきます。
私はこの激痛を何とかしたいだけで、こんなつらい時に新しい習い事を始めるのは面倒だなと思いましたが、説得されているうちに、それで治るなら行ってみようかという気になってきました。やっと電話がつながったという喜びもあったし、手を触れずに人を投げ飛ばすのも実際見てみたいという好奇心もあり、誘われるがまま、気功教室へ行ってみることに決めてしまいました。
ホームページで料金を確認すると、入会金15000円 月謝16000円とあります。計31000円か。。。
相場よりかなり高いです。でも、きっと達人の先生だからこんなものか・・とも思いました。

心と体が弱っているときには気づかないものです。
初回治療2900円のつもりで電話した私は、あっという間に31000円も支払う方向に誘導されていたのでした。
それでも、気功教室だって初回お試し料金ぐらいあるよね。。初回は無料っていうところも多いし。。と軽く考えていました。

気功教室当日は、あいにく雪の日でした。
混んでいる電車を乗り継ぎ、なかなかの長旅でした。最寄り駅を降りてから雪の中、治療院へ向かいました。その頃はちょっと首を動かすだけで腕に激痛が走るので、ずーっと下を見たまま首の角度固定で歩かなければなりませんでした。ちゃんと前を向いて歩けないので危険です。想像していたよりはるかに大変で、着く頃には、これは週一で通うの無理だな。。やっぱり今日一回だけお試し料金で参加できるか聞いてみよう。。という気持ちになっていました。

初回だったので早めの電車に乗り、教室の開始時刻より15分ほど前に着きました。治療院兼教室は、ワンルームのマンションの一室です。玄関を入ってすぐカーテンで仕切られており、カーテンの向こう側で先生は誰かと電話中でした。
「今日初めてなんですけど。。」と言うと、
「じゃあこれを書いて」と住所などを書く用紙を渡され、記入している間、カーテン越しに電話の内容が聞こえてきました。先生は電話の相手を怒鳴りつけながら説教していました。
私はそれを聞いて、こわっ、口コミレビューやYoutubeの印象とはずいぶん違うな。。と思い、すぐに帰りたくなりました。今思えば、その直感に従ってすぐに帰るべきでした。でも、わざわざ雪の中せっかく来たしな。。と思いなおしました。
私は用紙を書き上げ、先生が電話を終えたので、カーテンを開けて「できました!」と渡そうとしました。
すると先生は床の絨毯にコロコロをかけながら、「ちょっと待ってよ!今掃除してるんだから!!」とイライラした口調で怒鳴りました。
うわー!やっぱり帰りたい。。気持ちが揺れました。
後でわかるのですが、この先生はデフォルトで声が大きいので、初対面だった私は怒鳴られているように感じたのかもしれません。とにかく第一印象は最悪でした。

教室の準備が終わり、先生がカーテンから出てきて
「じゃあ、入会金と月謝で31000円です♪」と言われた時にやはり不安になり、
「通えるかどうか不安なのでお試しはできないですか?」と聞くと、
「それはダメです!」とまた怒鳴るような声で強く言われました。
ああ、じゃあ、帰ろうかな。。と迷っていると、
「ちょっと外で話そう!」と先生。
もう他の生徒さんは教室の中に集まってきていたので、話を聞かれないように配慮はしてくれたのかもしれません。

「あなたが首を痛めたってことは、今までのヨガのやり方がまちがってたってことでしょう?」
とか、
「こう言うのもなんだけど、うちって結構有名なのよ。だから盗みに来る人もいるし・・あなたを疑っているわけじゃないけど・・」
とか、
「後半は全員一人ずつ僕が治療するからそれだけでも価値があるし・・」
とか、
強く言われているうちにもうどうでもよくなってきて、結局やることにしました。

この体験だけでもすごく学びました。
身体が健康じゃないというだけで、初対面の人にここまでマウントをとられてしまうんですね。こういう説教されるのが好きな人もいるんでしょうが、まったくマゾっ気のない私にとっては不快でしかありませんでした。もしかしたら私自身も、今まで病気やケガをした人に無意識にマウントをとって嫌な思いをさせていたかもしれないなと、振り返る機会にもなりました。

さて、現金で用意していた31000円を先生に渡すと、一瞬、目尻と口元がゆるんでニタッとした笑顔になりました。ほんの一瞬です。一万円以上の現金を受け取る時に、この微表情が出る人は多いです。これは営業用の笑顔とは違うもので、雇われている店員さんや受付の人には、どんな大金を渡してもこの微表情は出ません。まあ、お金をもらえば嬉しくなるのは当たり前ですが、自分の技術を商売にしている人にこの微表情が出てしまった場合は、ほぼ期待できません。私の経験から言えば、まず100%の確率で、こういう人はいい仕事をしません。おそらく無意識では、自分の技術<もらうお金、という事実がわかっているのでしょう。

微表情については、ライ・トゥ・ミーというドラマの第一話だけを観れば、基本的なことはばっちりわかります。第一話は無料なのでオススメです。あとは、ポール・エクマンの本などにも詳しく書かれています。

(5)へ続く