メディカル・ミディアム -医療霊媒-

ここ数年、アメリカやカナダではセロリジュースが流行っていて、スーパーでセロリが売り切れたり高騰したりしているそうです。そのブームの火付け役がこの本の著者、アンソニー・ウィリアム氏です。この方、医者でも何でもなくて、本のタイトル通り“霊媒師”です。4歳の時に突然『最高位の聖霊(Spirit of the High) 』と彼が呼ぶ存在に話しかけられ、それ以降、その存在は、出会う人すべての痛みや病気、治すためには何をするべきかを伝えてくるようになりました。その声は止むことはなく、知り合いでもない目の前にいる他人や、テレビに写る俳優やタレントの状態までひっきりなしに話してくるので、かなり苦しい人生だったそうです。
なんとも不思議な話ですね。スピ系によくある、選ばれし者になりたい願望の強いアメリカ人が思い込みで書いた本かもしれませんが、たくさんのセレブがこの人に心酔し、セロリジュースがこんなにブームになっているのは、やはり効果があるからだろうか。。。という好奇心から読んでみました。

読んでみたら、面白いです!現時点で医学的に正しいとされていることを気持ちいくらい真っ向から否定しています。
例えば、原因不明の病気には、医者はとりあえず「自己免疫疾患」と診断しがち、とあります。私の母も急に体調が悪くなり、難病指定されている病名の診断がついて、結局入院してから1年もしないうちに他界しました。その難病は「なぜか自分の免疫が暴走して自分を攻撃してしまう病気」と説明されました。免疫が暴走するっていう話、母に限らずよく聞く説明だなぁと思っていたのですが、なるほど!よくわからないものは全部「自己免疫疾患」ってことにするのね!とこの本を読んで納得しました。
これに対して著者は、自分の免疫が自分を攻撃することは絶対にあり得ない、と本の中で断言しています。そしてそれぞれの病気が起こる原因について明確に説明しているので、読むとなるほどね~と引き込まれてしまいます。医者のよくわからないモヤモヤした説明より、この聖霊が明確に語る説明の方に信憑性を感じてしまうのです。そりゃぁセレブがハマるわけだ。。。これがすべて作り話でインチキだったとしてもエンターテインメントとして面白いので、読んでよかったです。
この本では、慢性疲労症候群、繊維筋痛症、多発性硬化症、リウマチ、甲状腺機能低下症、橋本病、糖尿病、低血糖症、副腎疲労、カンジダ症、偏頭痛、帯状疱疹、大腸炎、顎関節症、多動性障害、自閉症、PTSD、うつ病、PMS、更年期障害、ライム病について書かれています。興味のある方は是非読んでみてください。新刊も出るようです。

ここでは、すべての女性が通り過ぎなければならない通過儀礼のように語られる更年期の症状について、この本で書かれていることをざっと書いておきます。私も今まで更年期で苦しんでいる女性をたくさん見てきたし、自分にどんなことが起こってしまうのか不安で恐ろしいイメージのある「更年期」ですが、この本では「更年期は実はあなたの味方なのです」と書かれています。老化の速度は更年期後に低下するのだそうです。
現代の医学では、更年期以降、エストロゲンが減少して骨密度が下がるので骨粗鬆症になりやすいと言われていますが、本当のところは、生殖ホルモンこそが骨粗鬆症を引き起こしているのだとか。骨粗鬆症は進行するのに何十年もかかるため、ある一定の年齢になってから初めて症状が現れるというだけだそうです。また、閉経してエストロゲンとプロゲステロンの量が減ると、それらのホルモンを取り込んで増殖する癌やウィルス、細菌から守られることになり、つまり更年期以降は免疫力もアップするんだそうです。
現代の医学で言われていることの逆ですね。「閉経後は今まで自分を守ってくれていたエストロゲンが激減するから色々な病気にかかりやすい」とさんざん聞かされてきたのですが。。。まさか逆なの?

以下、興味深い箇所を抜き書きしておきます。
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p291
女性の生殖ホルモンは若さの泉だと言われてきました。ただ皮肉なことに、若さとは、20代、30代、40代にはないのです。真の若さは思春期以前にあります。そして、更年期に近づくことは、その時代と再び繋がることなのです。更年期によって生殖活動(およびそれが体にかける負担)が終わりを告げ、生殖ホルモンレベルが下がります。これは健康で長生きできるように、老化の速度を下げるという体の自然な働きなのです。
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実際ホルモンのバランスの不具合で苦しんでいるような症状がありますが、その謎の症状が1950年代に現れだした時、医者と製薬会社が老化による体の変化のせいってことにしておこう、と決めてしまっただけで、その本当の原因や治し方についても本書で詳しく説明されています。

 

さて、様々な病気を改善するのに効果的な実践方法ですが、共通事項を超簡潔にまとめると、
・朝一番、起きてすぐの空腹状態でセロリジュースを飲む
・とにかく野菜と果物をたくさん食べる
・肉(特に豚肉)、卵、養殖魚、大豆、トウモロコシ、乳製品、グルテン、精製糖、人口調味料、添加物などを避ける

3つ目は個人的には無理ですね。大豆もダメなの?日本人には酷ですね。つまりタンパク質は天然の魚からしか摂れないということでしょうか。。。さらに大型の魚には水銀が溜まってるからダメだそうなので、マグロはアウトですね。
大豆がなぜダメなのかというと、大豆は以前は健康的な食べ物でしたが、現在ではどの大豆製品も遺伝子組み換えによる影響を受けているか、有害なグルタミン酸ナトリウムを含んでいるからだそうです。
本当に?日本とアメリカでは事情が違うんじゃないの?とりあえず商品の原材料名を見て、遺伝子組み換えでない国産の大豆を使っているものを選べばいいかな。。と私は思うので、今後も大豆製品を食べるつもりです。それに肉も卵も乳製品もグルテンもマグロもおいしくて好きなので今後も食べますよ。。。量は少し控えますが。。。

この本を読んだ影響で私自身がゆる~く実践してみたことは、
・朝一番にセロリスムージーを少し飲むことにした
著者はセロリ一束をジューサーで飲むことをオススメしていますが、うちにはジューサーがないのでスムージーで飲んでいます。また一束も飲むのは経済的にも味的にも無理なので、だいたい長さ15~20センチくらいの量のセロリを毎朝飲んでいます。味は美味しくないけど慣れました。
・野菜と果物を食べる量をかなり増やした
特にこの本では果物を推しているのでたくさんの種類の果物を食べています。私は果物が好きなのでこれは楽しいです。果物をたくさん買う大義名分になりました。著者激推しのワイルドブルーベリーも冷凍で買って食べています。
・今までのように頑張ってタンパク質を摂らなくなった
今はとにかくタンパク質こそが大事!という考え方が主流ですが、この本ではその主張に異を唱えています。テレビでは健康長寿のお年寄りが朝から肉や卵をムシャムシャ食べている映像を流して、ほらね、長生きするためにはタンパク質を食べなきゃね…という考えを広めています。実際私もそれを当たり前のように信じていましたが、あれ?もしかして洗脳されてた?と少し冷静になりました。健康のために頑張ってタンパク質を摂っていましたが、食べたくないときは無理に食べなくてもいいか、とこの本のおかげで楽になりました。

しばらく実践した結果、
・胃の調子がよくなった
・元々快便だったのがさらに超快便になった
・生理痛がなくなった
などの効果が今のところ出ています。特に便の量は2倍くらいになりました。さらに便の状態も固すぎず柔らかすぎず長ーい便が出て気持ちいいです。毎朝「ながっ!」とつぶやいてしまいます。これはおそらく食物繊維のおかげでしょうね。生理痛がなくなったのは偶然なのか気のせいなのか、あと何回かの周期のデータがほしいところです。今後も完全になくなれば嬉しいです。

もし医者に行っても改善しない何らかの症状に悩んでいる方は、この本に書いてあることを試してみてもいいかもしれません。ただし、この本の内容は科学的なデータに基づいたものは一切なく、すべて“聖霊のお告げ”によるものです。聖霊いわく、人間の医学が自分の言っていることに追いつくまであと数十年かかるそうです。そういう胡散臭いのはちょっと…という方には、ナチュラル・ハイジーンをオススメします。実践方法はかなり共通しています。果物好きな方ならやりやすいと思います。ただし、こちらも“科学的”とは言い難いです。
“科学的なデータ”に基づいたものであれば、マイケル・グレガー氏の、ひたすらデータを並べて菜食主義をゴリ押しする本も面白かったですよ。ただし、こちらもいい加減なデータを使っているとの批判が噴出しています。こんなにデータを列挙されたら、ひとつひとつの統計の信憑性を自分で調べるのは大変です。“科学的なデータ”もそれを使う人が何を信じているかによって文脈が変わり、どこまで信頼できるのか疑問です。
結局は自分の体で少しづつ確かめるしかないんですよね。