ヨガと呼吸

「ヨガ」という言葉には、“結ぶ”という意味があります。
「馬にくび木をつけて、馬車につなぐこと」が語源と言われています。
まずは、自分自身の心と身体を結ぶこと。
そして、自分と他人を結ぶこと。
さらに、自分とありとあらゆるものと結び、
世界と調和することです。

ヨガを実践することによって、
身体・心・人間関係・・・
日常のすべてを、気持ちよい方向に高めていけます。

ヨガは柔軟性やポーズの難易度を、他の人と競争したり比較したりするものではありません。
自分を大切にして、はじめて他人も大切にできます。
まずは、自分自身に向き合って、心と身体を結びます。

無理に完成ポーズを目指すのではなく、呼吸をして身体の感覚に意識を向けます。そうして身体とコミュニケーションがとれるようになってくると、余計な力が抜けて自然と身体が緩み、気持ちよく柔軟になってきます。

心と身体をつなぐものは「呼吸」です。
呼吸が止まってしまう時は身体に無理をさせている状態ですから、楽に呼吸ができる位置にポーズを調整します。逆に、ポーズを行う時、心地よい呼吸をすることによって、自然と今の自分に最適な位置に導かれます。
このように、ヨガにとってとても重要なものが呼吸です。

ここでヨガと呼吸の関係についてまとめておきます。
手足などの筋肉は自分の意志で動かせますが、内臓や器官などは、自分の意志とは関係なく自動的に動いて活動してくれています。
前者を支配しているのが「運動神経」、
後者を支配しているのが「自律神経」です。

呼吸はこれら両方の神経を受けて働きます。

呼吸は自分の意志でもコントロールできるし、例えば寝ている間など、自分で意識していなくても自動的に動いてくれて止まることはありません。
つまり、呼吸は「運動神経」と「自律神経」をつなぐ架け橋となります。
呼吸をコントロールすることによって、自分の意志ではなかなかコントロールできない「自律神経」も調整することができます。
ヨガの「呼吸」は半分は随意的で半分は自律的、
つまり、半分は人で半分は蛇ということで、深層心理学的には「剣」に象徴されます。
剣の達人は、剣に宿る蛇の精霊に話しかけ、信頼関係を築き上げることによって剣の腕を上達させます。
随意的動きと自律的動きのバランスを取ることは、すべてのスポーツや芸術・・というかあらゆる人間の活動で大切なことですよね。

私は、以下のように対応していると思います。
★運動神経-理性-男性性-顕在意識-人-光-個人
★自律神経-感情-女性性-潜在意識-蛇-闇-集団

「感情」と「理性」では「感情」の方が圧倒的に強いです。
「理性」だけで頑張っても「感情」には到底かないません。
勝ち目のない相手とは争わない方がいいですね。
強い相手とは「調和」して、一体化することによって勝利を目指します。
そのために、両方の神経を結ぶ「呼吸」をコントロールします。
よく、武道の達人は「宇宙と一体化しているから誰にも負けない」という話を聞きます。
宇宙と一体化してしまえば、そりゃあ無敵ですよね。

 

さて、今度は「自律神経」だけに注目してみます。
「自律神経」には、「交感神経」と「副交感神経」の二つの神経系統があります。速い呼吸をすると「交感神経」が優位になり、心拍は速くなり、血管は収縮して血圧が上がり、心は興奮・緊張状態になります。ゆっくりした呼吸をすると「副交感神経」が優位になり、脈拍はゆっくりし、血圧は下降して、心はリラックス状態になります。

二つの神経系統は一つの臓器に対して、拮抗的に働いています。
交感神経
起きている時・緊張・興奮している時の神経
心拍数・血圧の上昇
副交感神経
寝ている時・リラックスしている時の神経
心拍数・血圧の下降

また、ヨガでは、身体の内部に、「ナーディ」という、「プラーナ」の通路である管が、7万以上存在すると考えられています。
その中でも重要とされる3つの「ナーディ」があります。
まずは脊柱の基底部から頭頂までの中心を通るものが、「スシュムナ」です。(脊髄神経とは異なります。)
これに添って各チャクラが存在し、この「スシュムナ」を中心として各チャクラで交差し、左右にらせん状に巻き付くナーディがあります。
その左の基底部から発しているものが「イダ」、
右の基底部から発しているものを「ピンガラ」です。
この2つのナーディは二匹の蛇に象徴されています。
目に見える形であらわすと、ちょうど背骨を中心に「ヘルメスの杖」↓のようになっています。

ヘルメスの杖

 ヨガの考え方では、
「ピンガラ」の象徴は太陽で、「交感神経」を司ります。
「イダ」の象徴は月で、「副交感神経」を司ります。
この2種類の「自律神経」のバランスを調整できるのも「呼吸」です。
ここでも深層心理学的には、ヘルメスの杖=剣=呼吸の象徴であるとも分析されています。
DNAの二重螺旋のようにも見えますね。

このように、対極にある二つのエネルギーを結ぶのが「呼吸」です。
常に対極のバランスを取りつづけることが人間として生きるということなのかもしれません。

ヨガの様々なポーズはこの「呼吸」を深めるためのツールでもあります。

 

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